日本人特有の仕事観

3月 10th, 2010

先日、ある雑誌の中で、「部下の、相手を思いやる心配りの無さに、現状のふがいなさ(業績の悪さ)の原因を見た」とあった。確か人材派遣会社の部長級の方の談話だったように記憶している。
 確かに、気配りの出来ない人間が非常に多いように思う。相手がこうして欲しいと感じることが出来ないから、気配りが出来ない。俗的な言い方をすれば、気がつかない。気がつかないから、コミュニケーションがうまく取れない。うまくコミュニケートできないということは、相手に信頼されない。信頼関係なくして仕事は進まない。少し強引過ぎるだろうか。
 年代を問わず、人に親切を提供して(してあげたという感覚)、お礼を言われなくて嬉しいと感じる人はいない。お礼を言われたくてするのではないが、私みたいな小市民は感謝されたい。私流の、情けは人の為ならず!である。人に何かしらしてもらったことに対してお礼をいうのは常識だと思う。
日本には特にそういう文化がある。盆暮れの、お中元やお歳暮もその一環ではないだろうか。私は、お世話になっている人には、必ず定期的に感謝の意を表す意味で届けている。古いと感じる方が多いのも事実だが、古いのだろうか?私は両親から、「義理を忘れた人間は絶対に出世しない」とか、結婚してからは、「嫁さんが笑われる」とか、言われ続けてきた。私の実家が田舎だからではないと思う。これを、日本の悪い商習慣の骨頂だ!と、言う人もいるが、私自身はそうは思わない。勘違いしないで欲しい、へりくだって、ご機嫌取りをするのではない。揚げ足を取ればきりが無い。幸か不幸か、今は笑われる奥さんがいない!のだが。
 仕事をしていて、若い頃はそんなに意識していなかったが、最近は特に思う。一人で出来ることなんか大したことは無い。常に誰かの応援あって、事は成し遂げられるのだと。常に誰かに応援してもらえる自分を築くことこそ、ビジネスチャンスを広げる大きな要因であると、それなりに歳を重ねて今思う。応援してくれる人は多いほどいい。「俺は俺だ!」と嘯いても仕方が無い。がばいばあちゃん(島田洋七さんの著書)の一説に、「人は一億円あっても、金魚一匹作れやしない。」とある。その通り!
 単純に考えて欲しい。応援してくれる人が一人もいない人間と、百人から応援される人間と、どちらがチャンスが多いか、どちらが可能性が大きいか、単純明快だと思う。応援してもらえる自分の人間的成長、やがて、人を応援できる本当の成長、どちらをとっても、心配り気配りがあり、義理固く、人を裏切らない…、そんな人を人間力のある人だと、私は思う。
 仕事を始める前に、もしくは仕事で成果を上げるためには、周りの人たちとの協力無しでは、何事も成し得ない。コーチング研修も詰まるところ、コミュニケーション習得の一環である。人が人と良い関係を築き、調和をもたらし、協力体制が完備でき、そして、物事が進みだす。営業も同じく、先ずは相手に信頼され、相手の利益を想像させることが出来なければ成約にならない。所謂、鈍感な人間には成功は無いのではないか。
 私は常々、「全ての戦略は、気持ち重視の組み立て」だといい続けている。今も変わらないし、その考えに一点の曇りも無い。これからも言い続けるし、忘れてはならないと思っている。
人に応援される自分の啓蒙と、人を応援できるまでの成長を志し、レベルの高い社会の一員として自覚を持ち、そのための努力や訓練を惜しまず、根っこの部分の心の繋がりを、もっと強く大きく出来るような生き方をしている人を私は単純に「凄い人」と呼んでいる。平たく言えば、皆に大事される、必要とされる、愛される、そんな人の共通点は、気配りや心遣いが出来、義理堅く、常識力のある人だと思う。
再度、年齢や役職に関係なく、人を幸せに出来る人間は、やがて自分も幸せになれる。そんな人を目指しましょう!
なんだか宗教的な言い回しになってしまった…。でもほんと、私もそうありたいと思っています。あとは、笑われない嫁の確保か…。

井若 浩

カテゴリー: セミナー・研修案内, 経営相談

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